植物名 | |
ラテン名 | Gentiana triflora Pallas |
文献コード | Gentiana-triflora-Ref-3 |
出典(著者,雑誌,巻号頁,発行年) | Hosokawa K et al., Plant Cell Reports 15: 578-581 (1996) |
要約(和訳) | リンドウ外植片からの効率的な植物体再分化を促進するため、いくつかの培養条件を調べた。4種のサイトカイニン(TDZ、4PU-30、BA、zeatin)添加培地での栽培品種WSP-3の葉外植片からの不定芽形成は、B5培地よりもMS培地の方が優れていた。再分化にはオーキシンとサイトカイニンの組合せ添加が必要であった。TDZが最も効果的なサイトカイニンであり、IAA、2,4-DよりもNAAの方が効果的であった。再分化率と外植片あたりのシュート再生数で評価した栽培品種WSP-3の外植片(葉、茎、根)からの再分化の最適条件は、TDZとNAAの組合せで、それぞれ、葉と茎は5-10 mg/Lと0.1 mg/L、根は10 mg/Lと1 mg/Lであった。これらの条件を8種類の他の商業品種に適用した結果、葉からの再生率30-100%が得られた。それぞれの品種の再分化植物10個体の染色体数は二倍体で、2n=26であった。培養で再分化したシュートは、植物ホルモン無添加培地で発根し、土に移植した。 |
目的 | 葉、茎、根の外植体からの不定芽形成 |
材料(品種,系統,産地,由来) | 岩手県園芸試験場から入手したGentiana triflora F1(Himoi, Ihotovo, Iwate, Iwate-otome, Maciry)種子とG. triflora × G. scabra種間F1雑種Albireo種子,及びG. triflora × G. scabra種間雑種H-3, Palamo white, WSP-3の培養シュート。不定芽形成の最適条件検討は、主としてG. triflora × G. scabra種間雑種品種WSP-3のシュート培養物を使用 |
外植片 | 種子、培養植物体(無菌実生又はシュート培養)の葉(5 mm角)、茎(5 mm長)、根(5 mm長) |
初期培養 | 種子は、1%次亜塩素酸ナトリウム液で5分間殺菌後、滅菌水で2回濯いだ。殺菌した種子は、30 g/Lショ糖と2 g/Lゲランガム含有MS培地で発芽させた。全ての腋芽は同培地で培養した。実生及びシュート培養から得た幼植物体は、20℃、蛍光灯(50 µmol m-2 s-l)下16時間明期で定期的に継代した。継代培養は、2ヶ月毎に、頂芽及び腋芽切片を移植して行なった。 |
シュート増殖 | 栽培品種WSP-3の葉切片からの不定芽形成は試験した全てにおいて、B5培地よりもMS培地の方が優れていた。TDZ(1-10 mg/L)とNAA(0.1 mg/L)の組合せが不定芽形成に最適で、4PU-30、BA、zeatinがそれに続いた。オーキシンの添加は必要で、サイトカイニン単独では不定芽は形成しなかった。最適条件確立のため、TDZを3種のオーキシンと組合せて添加した。葉切片からの不定芽形成は、5-10 mg/L TDZと組合せた0.1 mg/L NAAが最も効果的であった(形成率100%)。20 mg/L TDZと0.1 mg/L NAA及び1 mg/L IAAの組合せでも形成率100%が得られたが、いくつかのシュートがガラス化し、以降の発根や馴化を妨げ、2,4-Dは最も不適であった。
茎及び根切片からの不定芽形成は、それぞれ、5-10 mg/L TDZと0.1 mg/L NAAの組合せ、10 mg/L TDZと1 mg/L NAAの組合せが最適であった。根切片では、最適条件でも切片あたり5本のシュートしか形成せず、葉切片及び茎切片の最適条件での形成数よりも少なかった。葉切片及び茎切片は、シュート再生に最も適していると思われた。
9種類の商業栽培品種の葉切片からの不定芽形成をTDZとNAA含有MS培地で検討した。G. scabraを花粉親とする交配種である栽培品種Albireo、H3、Polarno white及びWSP-3は、高い形成率(80及び100%)を示したが、G. triflora栽培品種Homoi、Ihatovo、Iwate、Iwate-otome及びMaciryは、低い形成率(30から75%)を示した。形成したシュート数を比較すると、栽培品種WSP-3とPolarno whiteが切片あたり8-10本のシュートが形成し、最も多かった。 |
発根 | 再分化したシュートは、発根のため、30 g/Lショ糖、2 g/Lゲランガム含有MS培地に移植した。培養シュートは、植物ホルモン無添加培地、4週間で容易に発根し、馴化した。 |
馴化条件 | 根が良く生育している再生植物体は、注意深く洗浄してゲランガムを除き、バーミキュライトを充填した植木鉢に移植した。馴化完了後、植木鉢の植物体を温室に移動させた。 |
鉢上げ・定植 | |
栽培条件 | |
再生植物体の形質 | 温室で生育した各20本の再生植物体は、初期生育において、葉形、成長とも、形態的に正常であった。各栽培品種再生植物10個体の根端細胞の染色体数を計測した結果、二倍体に相当する2n=26であることが確認された。 |
分析した成分 | |
成分の抽出法 | |
分析法 | |
備考 | G. triflora、G. triflora × G. scabra種間雑種 |